- ーー IoT事業を始めたきっかけは?
- 元々自社は、大手半導体会社の早期退職組が集まった会社になります。その為、工場系を中心としたソフト開発を行っていました。当初は、大手の使っているソフトを低価格で提供するのが自社の想いでした。ところが、中小の企業に導入すると、入力インターフェースがネックになる事が多々あり、社内で検討した結果、デバイスを使って自動化することにしました。実はこの自動化は、半導体企業では、20年位前から行っていた技術だったので、開発にもさほど時間は要しませんでした。その後運がいいことに、世の中がIoTブームになり、我々も便乗させていただきました。
- ーー アソディーノグループとはどんなグループですか?
- アソディーノグループは、総勢14名で運営しているベンチャー企業になります。メンバーの9割は元半導体工場で働いていたメンバーの集まりです。製造現場、品質管理、プロセス技術、情報システム、設備保全、設計と色々な部署からの精鋭で構成されています。工場で働いていた経験を活かし、立ち上げ当初は中小企業向け工場システム(受発注管理、生産管理、品質管理、運送管理)等をオーダーメイドで開発していました。アソディーノグループの特徴は、システムを開発するエンジニアが、現場で働いていたと言う点です。現場でシステムに不安を持っていたエンジニアが、企画開発を行います。それゆえ我々には出来上がるまで仕様書が存在しません。制作時点で現場の方と相談しながら開発を進めてまいります。今ではSIMもSoftbank社とDoCoMo社より提供いただく事により、デバイス、ソフト(クラウド)、通信までを一貫で製造出荷ができるメーカーになりました。
- ーー ソフト開発で大変な所はどこですか?
- ソフトウェアーを開発していく中で、ネックになっていたのが、入力作業です。いくら便利なシステムを構築しても、現場の労力が増えては意味がありません。現場の話を聞き、現場が本当に使い勝手のいいソフト開発は私たちが特に意識している所です。
- ーー アソディーノグループが今、力を入れているのは何ですか?
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現在、力を入れているのは、「AI」 と「自然エネルギーを使った電源の確保」、そして「通信コストの低減」になります。IoTを作っていく中で、ネックになる部分が3つありました。1つ目は消費電力の問題です。電源が確保できる所はいいのですが、電源が確保できない所では精々1週間電池を持たせるのも至難の技です。ところがお客様は「3ケ月は最低持たせて欲しい」とか極端なお客様は「3年は持たせてくれ」なんて会話もありました。
以降、自然エネルギーを使った低コストで導入可能な電源作りに力を入れています。2つ目は通信です。現在自社の主流は3G回線を使った通信ですが、まだまだ価格が高いと思っています。全ての物につながる為には、10分の1まで通信コストを下げる必要があると考えています。3つ目は、現在蓄積しているBIGデータの解析です。AIを使って色々な角度から解析しているところです。この部分は今後、アソディーノグループ全体で本格的な導入を目指している所です。 - ーー どんな案件が多いですか?
- 現在は、お客様からオーダーメードの案件が多いです。昨年までは、「IoTを使って何かしろ」と上司から言われてて、、、という相談が多かったのですが、昨年末くらいから具体的な案件を相談される企業さんが増えたように感じます。
- ーー 新デバイスASOについて特徴を教えてください
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ASOは工場用途をメインに開発したデバイスになります。今回の5月のビッグサイトで開催されるJAPAN IT WEEKの展示会で初発表になります。特徴は、工場内の様々な機械に対して各機械から内部情報を吸い上げる通信規格を内臓した所です。またシールドを追加することで、色々なセンサーや通信を追加する事が出来る対応力の広さが魅力です。
今後普及が見込まれるLPWAや5Gなんかももちろん対応できるんですよ。 - ーー ASO開発で苦労したところはどこですか?
- ASOは、これまで作ってきたデバイスでの失敗を全て取り入れたので、特に苦労はなかったですね。
- ーー IoTを提案するにあたり意識しているところは?
- やはり費用対効果になります。物珍しさで導入される企業様もいらっしゃるとは思いますが、お互いWIN WINの関係を築かないといけないと常々思っています。
- ーー 成功するIoTと失敗するIoTの違いはなんですか?
- 私の中には、失敗するIoTはないと思います。昔から、「失敗は成功のもと」という言葉がありますが、まさしく失敗の連続で我々のデバイスもどんどん進化してるわけですから、失敗はないと思います。私たちのグループ全体で「失敗談を数多く持つことが成功の近道」という考えがあるんですよ。その数多くの失敗からの学びの中で、特に肝に命じているのはやはり、「現場に耳を傾ける事」ではないでしょうかね。
- ーー 今後やってみたいIoTはありますか?
- 今、取り組んでいる「オムツ内の排泄物を感知するIoT」は非常に面白いと思います。それとドローンを組み込んだIoTをやりたいですね。以前も、某企業様からの案件でドローンを組み込んだ案件を行いましたが、驚きの連続でしたよ。
- ーー 今後、日本のIoTと、世界のIoTはどのように進化すると思いますか?
- 世界的に見るとIoT業界ではインダストリー4.0のように、ドイツがリードしていると思います。ですが今後はドイツと日本が世界のIoTをリードしていくのではないかと考えています。
- ーー 今後の展望や目標は?
- 今年は、自然エネルギーと次世代通信を確立したいですね。この2つを他社よりもリードすることが目標です。
- ーー これからIoT導入を検討している企業の方へ一言
- IoTは、我々が作るのではなく、企業の方の改善への思いが、新しいIoTを作り出すと考えています。我々はその手助けができればという思いです。御社の考えや思いが、もしかしたら世界をかえるかもしれません。是非一度ご相談ください。
Profile
高江 大作
1965年生まれ。熊本県熊本市出身。
熊本工大高等学校卒業後、NEC九州(株)へ入社。
製造部や生産システム部などを経験し、
2008年オーディエンスサイバージャパンを設立。
現在はアソディーノグループの代表として、
(株)ライズナー(株)ティアソシエイト、IoT(株)を取りまとめている。