アイ・オー・ティー モバイル株式会社

三井住友海上火災保険 海損部 リスクコンサルティングチーム長 桶田一夫 三井住友海上火災保険 海損部 リスクコンサルティングチーム長 桶田一夫

2017年5月、JAPAN ITweek 2017 IoT/M2M展の春に私達アイオーティモバイルは初めて展示会に出展しました。初出展で、展示スペースも狭い弊社のブースで私たちはこの方と出会い、そして翌年には一緒にIoT/M2M展に出展することになりました。
彼は、なぜ保険業界でありながらIoTに興味を持ち、更には出展までするのか?今後、IoT、AI化社会が進む中で保険業界がどのように進むと彼は考えているのか?を聞く事ができました。

ーー 今日はよろしくお願いします。早速ですが桶田さんの会社名と所属部署、あと日常業務についてお聞かせください。
桶田 一夫 (以下桶田) : はい。私は三井住友海上火災保険株式会社の海損部 貨物第3グループ長として、海外との輸出品や輸入品もしくは国内の運送貨物の事故時の調査や保険金のお支払いを指揮しており、更にその事故の経験・ノウハウを活かしてリスクコンサルティング長として部内を牽引し、お客さま向けの事故防止や損害額低減のリスクマネジメントを展開しております。
ーー そのリスクマネジメントにIoTやAIを活用しようということですね。でも何故、保険業界でIoTやAIなのでしょう。導入検討に至った経緯を教えてください。
桶田 : 自動車の自動運転化が進展していくことにより、損保業界のメイン商品である自動車保険にも大きく影響します。その他にも査定や事務のAI化が進展し、保険会社に対する既成概念が今後変わっていくでしょう。その中で、我々損害サポート部門としてやれることは何だろうか?と考えた時、事故やリスクを一番知っているのは、実は我々なのだから、そのノウハウを事故後に使うのではなく、事故が起こらないように使うことは出来ないだろうか?
そして、その時には以前から関心があったIoTやAI、ARやVRといった最先端テクノロジーを活用して、そう、お客さまをワクワクさせるような仕掛けで、事故防止や損害額低減のリスクマネジメントに活かしていきたいと考えたのがきっかけです。 そして、色々なリスクマネジメントツールを開発していきましたが、そのワクワクの最たるものが今年リリースした倉庫内のリスクを見える化する「リスクハンター」です。これは、事故を未然に防ぐ事を目的に作ったゲームアプリです。
ーー なるほど、危機管理教育をゲーム化したわけですね。でも、ビジネスの場ではなかなかチャレンジングな取り組みですね。保守的な業界ですから社内でも大変だったのでは?
桶田 : そうですね。ホント大変でした。でも、お陰様でヒットしたので正直ほっとしています。
ーー 開発のポイントは?
桶田 : 教育は通常「教えたいこと」ありきですが、発想を変えて「学ぶ動機づけ」を主眼においた為ゲームアプリという形態にしました。ゲームなら学ぶ動機づけとなりうるし、仲間や上司とスコアのことでコミュニケーションが広がり連帯感も生まれる、そして何より不規則な就業時間で集合研修が大変だという声にもお答え出来た。人手不足、人材教育不足が叫ばれる運送・倉庫業界において、少しはお役に立てる、皆様をワクワク、ハッピーな気持ちにさせるツールが出来たと思います。
ーー 実際の倉庫内を歩いているように映像も動くし、ちゃんと解説もあるので、実に楽しくて効率がいいですね。このゲーム以外に何か今後の展開はありますか?
桶田 : もちろんです。この「リスクハンター」の第2弾、第3弾も検討中ですが、スマートグラスを用いた若手教育アプリや倉庫内効率化ナビアプリ、まその他色々な最新テクノロジーを取り入れた作業効率化ツールも秘密兵器として検討・開発中です。(笑)

三井住友海上火災保険 海損部 リスクコンサルティングチーム長 桶田一夫 三井住友海上火災保険 海損部 リスクコンサルティングチーム長 桶田一夫

ーー 次に、今後AIなどのテクノロジーが発展し、様々な乗り物がオートメーション化する事で、事故がなくなる世界をイメージしているのですが桶田さんはどうお考えですか?
桶田 : もしそんな時代が来れば保険業界が破綻するかと言われれば決してそうではありません。事故の件数は減るかもしれませんが、最新技術の高価な商品や建物が増えるので損害額は大きくなるかもしれません。少なくとも天災は避けられないでしょうし、新しい技術が生まれれば、新しい・難しいリスクも生まれることでしょう。
昔から神社の「御守り」が存在しているように、その「御守り」のような役目を果たす守りの「保険」は今後も必要とされることでしょう。ただ、プラスして私がご提案したいのは、守りの「保険」以外にも、今の時代ならではですが、積極的にIoTやAIの最先端テクノロジーを使ったリスクマネジメントを導入すれば、未然に事故を防ぐことも可能なので、是非「リスクマネジメント」という「攻め」も必要だということです。
事前に攻めの「リスクマネジメント」でリスクを減らし、万が一でもバックアップとして守りの「保険」がついている。そんな二重の備えです。それが提案出来るのが本物のリスクのプロフェッショナルでしょう。
ーー 皆さんいかがだったでしょうか?保険業界の枠にはまらず、常に新しいものを駆使して課題解決するんだという桶田さんの考え。まさにリスクのプロフェッショナルですね。攻めの「リスクマネジメント」かっこいいですね。 私たちIoTを提供する会社は、実に多種多様の業種と課題に直面します。そんな中、一番大事なのは「解決するんだ」と燃えるような熱意だと思います。どんなに高額なIoTシステムを入れても現場が「解決したい」と願わなければそのシステムはただただサーバーを圧迫するシステムにしか過ぎません。保険業界だからこそ見えて来る課題やリスク。それを伝えるためにゲームやAIなどの最先端テクノロジーを駆使する熱い男、桶田 一夫。実に今後の活動が楽しみです。

三井住友海上火災保険 海損部 リスクコンサルティングチーム長 桶田一夫 三井住友海上火災保険 海損部 リスクコンサルティングチーム長 桶田一夫

Profile
桶田 一夫

三井住友海上火災保険 海損部 リスクコンサルティングチーム長 桶田一夫

三井住友海上火災保険株式会社
海損部 貨物第三グループ長
兼 リスクコンサルティングチーム長

【業績】
・JETRO共催「香港輸出セミナー」実施
・事故現場でのスマートグラス活用でNHK出演
・JETRO食品輸出セミナー登壇
・危険予知アプリ「リスクハンター」開発
・船井総研 国内物流RM技術の最前線セミナー登壇
・2019年国交省連携ASEANコールドチェーンセミナー開催予定