アイ・オー・ティー モバイル株式会社

空港業務の効率化をIoTで叶える 空港業務の効率化をIoTで叶える

福岡に本社を構える株式会社BCC。弊社が初めて展示会に出展した2017年5月よりお付き合いをさせて頂いております。当初は「空港業務の効率化をIoTで叶えたい」というご依頼でした。「安全性」「正確性」が特に求められる航空業界で目指す世界とは何か?株式会社BCCの目指すIoTを取材しました。

ーー 御社が空港業務の効率化の為、IoT導入を空港に提案しようと思ったきっかけを教えて下さい。
平田 善作 (以下平田) : 私達は、世界の航空需要は増大を続ける一方で、空港事業の効率性やリスクマネジメントによる安全性向上の方策を迅速に進めていかなければならないと考えていました。しかしながら、増加するLCCや国内線などの近距離路線、省エネのハイテク機の到来、離発着便の増加に対して、人による効率化や、安全性の向上を図る事には限界があると考えています。
ーー 確かに、ここ数年で航空需要は飛躍的に伸び、LCCなどの格安航空会社の参入で私達も気軽に飛行機を利用する事が出来る様になりましたね。そんな中、空港業務の効率化は不可欠とお考えだったとの事ですが、御社は具体的に業務効率化を叶える為、どの様な提案をされたのですか?
平田 : 私達はまず、2017年度から以下のPOC※1を推進しました。
1つ目に「BPM」※2現状プロセスの可視化から課題抽出。そして将来プロセスの具現化です。
2つ目は「IoT」GSE※3へのセンサー装着を行う事で作業の効率化と、更なる安全性向上です。
3つ目は「見える化」GPSによる空港全体の作業進捗の可視化です。
実際に現状プロセスを可視化する事で、人がどの様な動きをしているのかが見える化でき、課題が見えてきます。その課題を解決する為に、IoTセンサーを1つ1つ取り入れていきました。実際にGSE車にセンサーを付けた事で、今どの車両がどの様な作業をしているのかを可視化する事に成功しました。更に、各GSEにGPSを付けた事で、誰がどこにいてどの様な作業をしているかを可視化する事が出来る様になりました。このソリューションの導入で、空港業務を全体的に見える化する事が出来たので、次に誰がどこで、どの様な作業を行うべきかの指示を出しやすくなりました。
ーー なるほど。空港は広いですからなかなか目視だけで現状把握は難しいですよね。GPSを使う事で、位置情報や動線の見える化が出来、次に行う作業指示効率が上がったというわけですね。では、もう間近に迫った2020年に向けて、社会は更なるIoT化が予想されますが、御社にとって今後の取り組みについてお聞かせください。
平田 : 私達、東京支店は首都圏の民間のお客様がほとんどで、その中でも特に航空運輸に特化していきたいと考えています。今回の空港内の業務のグランドハンドリングサービスは、燃料搭載、機内食の搭載、お客様の手荷物搭載、機内整備など様々なサービスがある中で、決められた時間内でいかに短く、安全に作業を行えるかという事がグランドハンドリング会社の宿命であると考えています。そういった所にIoTの技術を活かし、収集・蓄積したデータを可視化・分析して更なる生産性向上を図りたいと考えています。
ーー 私達が普段何気に利用している飛行機。確かに機内の窓から空港内を見れば、複数の車両が移動しているのを目にします。今までは当たり前の様に機内に乗り込み、機内では冷たい飲み物や温かい飲み物を口にし、当たり前の様に目的地に着くと考えていましたが、そんな「当たり前」と感じる事が出来ていた背景には、航空業界が日々のビジネスプロセスに基づいた継続的なプロセス改善があったからなんですね。次に、飛行機に乗る際には、そんな事を思い出しながら空港内を走る車両を見てみて下さい。きっと今までとは一味違った空の旅を楽しむ事が出来る事でしょう。

空港業務の効率化をIoTで叶える 空港業務の効率化をIoTで叶える

※1 POC(Proof of Concept:概念実証) 新しい概念や理論、原理などが実現可能であることを示すための簡易な試行。 ※2 BPM(Business Process Management)ビジネスプロセスに「分析」「設計」「実行」「モニタリング」「改善・再構築」というマネジメントサイクルを適応し、継続的なプロセス改善を遂行しようという経営・業務改善コンレプト。 ※3 GSE(Ground Support Equipment)航空機地上支援車輌。

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Profile
平田 善作

三井住友海上火災保険 海損部 リスクコンサルティングチーム長 桶田一夫

株式会社BCC
ITサービス事業本部 副本部長 
兼 東京支店長

1967年生まれ。山口県出身。航空系IT会社で主に運航・整備システムに10年従事。1999年株式会社BCC入社。現在は主に流通・運輸などの業務システムの導入に携わる。